もう何年も前の話なんだが、20代の前半に脱毛が始まり気が付いたら地肌が見える状態になった。正直なんで俺がという気持ちでいっぱいだった。
初めは藁をもつかむ思いで発毛のCMを流している「リーブ21」に行った。個人差があるのかもしれないが俺はダメだった。あれこれ指図されるのも俺の性に合わなかったのもあるが、とても高額な料金にとても続けられそうにないと思ったことが本音でもある。
その後アートネイチャーでかつらを作ることになるが、金銭感覚がマヒしていたのか精神的に追い詰められていたのか今となっては判別できないが、即決でかつらを注文した。しばらく待って合わせてくれた鏡に映った自分をみて喜びが込み上げてきたが、その反面これからかつらと付き合っていかなければならないなと何とも言えない不安が込み上げてきたのを今でも覚えている。
案の定その不安は的中した。次から次へと予備のかつらを勧めてくる。よくもまあ色々な口実をつくれるもんだと感心するほどのことであった。しかしそれはほどなく苦痛に変わり、次々とかつらメーカーを転々とし、その都度かつらを購入するといった状況に陥った。
その頃の自分はといえば、かつらの為に働き生活していた記憶しかないと言っても過言ではなく、あっという間に30を過ぎていった記憶しかない。
相変わらずどの店でも恩着せがましい接客と自分の成績の為のかつら販売攻勢に辟易として、青山にある専門店(今は銀座に移った)に行き美容師の井上さんに出会ったことで俺の人生は大きく変わった。
今ではこんなホームページを立ち上げるまでになった。そして、かつての俺の様にかつらで悩んでいる人へ何かの役に立てればと思っている。
以前と違いAGA治療薬が開発された今、男の薄毛は解決されたかのように情報が氾濫しているが、はっきり言ってそれで解決できるほど甘いものではないのが現状だ。それは薄毛が止まったり緩和されるだけじゃ物足りない部分があるし、これから子孫を残そうとしているカップルには子供に影響が出る可能性を排除できないリスクがある。
かつらと共に歩んだ俺の人生をまとめていくので、何かの参考にして欲しいと思う。
よろしくお願いします。
Mrかつら
武田 靖